時代遅れのラブレター



早速その手紙に書かれている文字を解読するため、図書館に行くサクラ。


しかし彼女ひとりではやはり限界がある。


閉館時間も近づき、館内にはどんどん人がいなくなっていく。
もう諦めて帰ろうとすると、近くで優しい女の人の声がした。


「それってもしかして、昔の人から届いた手紙ですか?」


その人は図書館の司書さん用のエプロンをつけていて、穏やかな笑顔でサクラに話しかける。


「…?」


「私も届いたことがあるんです。 "時代遅れのラブレター"」


「…時代遅れの、ラブレター…?」


サクラは呟きながら、持っていた手紙を見た。


「昔は今みたいにスマホのような便利なものはなかったので、手紙で大切な人に愛を伝えるしかなかったんですが…、中にはその愛の込もった手紙が、相手に届かないこともありました」


サクラは司書さんの話に、真剣に耳を傾けている。
まるでその時代のことを想像するかのように……


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