17歳、昼下がりの散歩道
そんな運命的な出来事が今、私たちの身に起こっている。
そう思うと、なんだか世間は狭いようにも感じられた。
でも、覆ることのない事実だ。
今までまるで嚙み合わなかった、嚙み合うことなどなかった歯車が、綺麗に合わさって、やっと正確に、ぐるぐると動き出したかのよう。
気持ちいいくらいの歯車の合わさり方だ。
「今日、私がここへ来ようとしていなかったら……。」
「俺が今日、駅にいなかったら……。」
2人でもしもの話をして、「こんな偶然ある?」と笑い合った。
「俺、今日はたまたま休みで、暇だったから散歩に出て。で、電車でどこかに行こうかと思ったけど、財布忘れたことに気づいて、そのまま帰るのも癪だから駅前でゲームしてたんだよ。」
「何それ。笑っちゃう話だけど、そのお陰で私は空に会えたのね。お財布忘れてくれてありがとう。」
「何に対して感謝してんだよ。感謝されるところ、絶対そこじゃねえ。」
空は爆笑して、私の頭を撫でる。
「出会えた。その事実だけで十分だ。」
彼のその言葉に、私は微笑んで、深くうなずいた。