17歳、昼下がりの散歩道



舞い落ちる桜の花びらを眺めながら、私たちは自然と手を繋いでいた。




「ねえ、空。」




彼の名を呼ぶと、彼は愛おしそうにこちらを向く。




今から言うのは、私のわがまま。




「私の写真、撮って欲しいの。桜並木のトンネルに来た記念。」




桜並木のトンネルに来たら、誰かに写真を撮ってもらいたいと考えていた。



それを誰にお願いするかは行き当たりばったりで、通りすがりの人にお願いしようとか考えていたけれど、今は空が一緒にいる。




「俺、写真のセンスないけど、大丈夫?」




「平気平気。あのね、撮りたい構図があるの。」




「ここは写真スタジオか?」




そんなことを言いながらも、空は私のわがままに付き合ってくれる。




私は自分のスマートフォンを彼に手渡して、桜並木のトンネルの中へと彼を導いた。




「全身は写さなくていいからね。で、背景は全部桜色になるようにして……。」




「めっちゃ細かいじゃん。」




文句を言いながらも、カメラを構えてくれる彼。



私のポーズも決まった。




「撮るぞー。」




シャッター音が、桜の中で鳴り響いた。





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