17歳、昼下がりの散歩道
でも、俺は言葉を続けた。
「詩織さん、桜並木のトンネルを背景にして写真を撮って欲しいって俺に言ってきて……。それが倒れる直前の出来事でした。最期に、”後はよろしくね。”って。」
あのときの彼女のセリフを鮮明に覚えている。
声のトーンも、抑揚も、そう言ったときの彼女の表情までも、色鮮やかな桜色の景色と共に脳裏に焼き付いている。
まるで自分が死ぬことをわかっていて言ったかのような、あのセリフ。
「そんな言葉を言われたら、勝手かもしれないけれど、俺がやるしかないと思っちゃって……。」
「うん。あなたがやるべきだと思うわ。」
かけられた言葉は力強いものだった。
「詩織の望み通り、お葬式は空くんに任せます。」
思わず頭を下げて一礼した。
「ありがとうございます。」