〜トラブル〜 黒のムグンファ・声を取り戻す旅

 トラブルが時計とジョンの寝顔を見て悩んでいる。

 急性眼球運動が現れない。これ以上寝かすと夜にひびく。

「ジョンを起こすのは、至難の業だよー」

 ノエルが笑いながら言う。

 仕方がないと、トラブルはジョンの顔を右に倒して首筋を下から上へ、親指でグイッと押し上げた。

「イテー!」と、ジョンは一発で目覚めた。

 大笑いの4人。

「はい、トイレー」

 テオは笑い涙を拭いて言う。

 追加の料理が来た。

「久しぶりに食事をしている気がする」
「最後に食べたのいつだっけ」
「美味しいですね」

 セスが、皆が寝ていく状況を話して聞かせた。

「嘘だー、そんなに早く寝てないよ」と、ジョンは口を尖らせる。

「お前が、1番秒殺だったぞ」

 また、大笑いの4人。

 トラブルは立って見ていた。

「なんで、ゼノの足の痛みがわかったの?」

 テオが聞く。

 トラブルは口パクで、見ればわかると、素っ気ない。

「トラブルも食べなよー」

 テオが誘うがトラブルは、いらないと、首を振った。

「ケーキもあるよー」と、ノエルが箱を持って近づく。

 トラブルは躊躇せずチョコレートケーキを取った。

「トラブルの好きなもの発見!」
「チョコレートケーキだぁ」
「だぁぁ」

(まったく……)

 憎めない奴らだと思う。




 メイクのユミちゃんに化粧ノリを褒められる。

「たっぷり寝たからねー」

 メンバー達は笑い合う。

 衣装を着て車で移動する。メンバー達は仕事の顔になり別人の様に変わって行く。

 マネージャーは普段との、この落差に他のアイドルにはないプロ意識の高さを感じていた。

 深夜のラジオ出演も元気にこなし宿舎へ帰る。

 シャワーを浴びて、誰ともなく「水を飲んで寝よう!」と、今日は酒を飲まず、ベッドへ入る。


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