〜トラブル〜 黒のムグンファ・声を取り戻す旅

 トラブルを突き落とした4人は「ヤベッ」とレストランに逃げて行く。
 
「待て!」
 セスは4人を追い掛けた。

「自分達が何をしたのか分かっているのか!」
 セスがスタッフ達に(つか)み掛かろうとした、その時、トラブルがセスの前に立ちはだかった。

 トラブルはびしょ濡れのまま、両手を差し出してセスを制止する。

「どけよ!こんな事をする奴らと仕事は出来ないだろ!注意しなくちゃならないんだよ!」
 セスはトラブルをかわして、スタッフ達を(つか)もうとするが、トラブルは両手を差し出したまま首を横に振る。

 トラブルの髪から水滴が四方に飛ぶ。

 セスはトラブルと目が合った。
「君は平気かもしれないが、俺はあんな奴らが大嫌いなんだよ!」

 トラブルは(うなず)きながら真っ直ぐにセスの目を見て、口を動かした。

 声は聞こえない。

「自分で?」
 セスの言葉にトラブルは(うなず)く。

 「自分でどうやって解決するんだ?」
 トラブルは、分からないと、首を横に振った。
 右手を胸にあて、そして、また、ゆっくりと口を動かした。

でも、自分で。信じて。

 セスの力が抜ける。
「分かった……信じる」


 上から見ていたメンバー達がレストランになだれ込んで来た。

「大丈夫?」
「何があったの?」

 口々に心配したと声を掛ける。

 メンバー役の4人はすでに居なくなっていた。
 そして、トラブルもいつの間にか姿を消していた。
 
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