もう誰かを愛せはしない
「だって私、彼氏作りに行くんじゃないもん。お洒落する必要ないでしょ」

「そうだけど、一応川野先輩もいるんだよ?ちょっとくらいお洒落してもいい気がするけど…」

「いいの。早く行こう」



美佳が気合い入れすぎなだけだよ!と思いながら、私達は合コンの場所となっている居酒屋へと足を運んだ。



居酒屋の前には翔介や亮太、見知らぬ男女が集まっていた。




「メイサ〜♪」



私の姿に気付いた翔介が嬉しそうに駆け寄ってくる。




「うーん。今日のメイサはボーイズファッションだね。可愛い」

「うっさい!何であんたは合コンを快諾したのよ!このバカっ!!」



翔介を叩きながらじゃれていると沢山の視線を感じた。


どうやら翔介を狙っていた女の子達が私を睨んでいる様子。



…合コンにきてよかったな。

翔介、絶対お持ち帰りされてたよ。




「あとは礼羽が来れば揃うな」



…ライハ?



翔介と騒いでいると、合コンメンバーの1人の男が“礼羽”と呟いた。


…聞き間違えかな?




一応確認の為に美佳とくっついている亮太に話し掛けた。



「…亮太、今日の合コンって私達の学部の人達だけじゃないの?」


「違うよ。俺らの学部だけだったら範囲狭くね?今日は医学部のダチがセッティングした合コンだから、医学部の人が多いかな」



医学部って……。


じゃあやっぱり礼羽ってあの礼羽なのかな。



もしそうだったら翔介もいるし、合コンだし

こんな所で礼羽に会いたくないよ。




…ってことで、帰ろう。





翔介や美佳にバレないようにゆっくり後退りして後ろを振り向くと

ドンっ!と誰かにぶつかった。




「きゃっ……!すみません」



鼻をさすりながら、ぶつかった相手を見ようと顔をあげると、見たくなかったリングが目に映った。



「あれ、メイサも来てたのか?」


「ライハ…」



目の前にいたのは礼羽。


最後に会った時から随分伸びた黒髪から覗く瞳には、目を見開いた私が映っている。
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