もう誰かを愛せはしない

8・泣きたくなる程、愛してる

日曜日。


まだAM6:00だというのに、枕の横に置いている携帯の着メロが鳴り響いている。




誰よ…

休日の朝っぱらから。




「…もしも〜…し?」



着信音がうるさいので渋々電話に出た。




「メイサ!おはよー」

「ショー…スケ?」



通話口から聞こえたのは、朝からハイテンションな翔介の声。


朝から何でこんなに元気なのよ、この男は。




「メイサ、寝てた?声がかすれてるけど」

「…うん。寝てた。それはもうグッスリとね。…だからまた寝る。じゃ」

「あ゛ーっ!ちょい待ち!!」



携帯を持ってる事すら面倒くさくなったので、スピーカーボタンを押して枕元に投げた。


その際も翔介はビービー何かを喋っている。



本当にも〜…

うるさいなぁ…




「…ねぇ、用件だけ話してくれない?」



渋々起き上がって翔介に話し掛けると、翔介は明るい声で用件を話し始めた。




「あのさ、今日俺んち来ない?たまには部屋でのんびりしようよ」



部屋ねぇ…。

ヤラしい事を考えてなければいいけど。




「…じゃあ迎えに来て」


「もちろん♪メイサのご両親に挨拶した方がいいよね?俺、スーツ着て行くよ」


「余計な事しなくていいから早く来て!早くしないとまた寝るからね」


「わーっ!!行きますっ行きますから!」



翔介に住所を教え通話を切った後、顔を洗って髪をとかし、化粧を軽くして着替えた。



…一応…下着もちゃんとしたのを身につけておいた方がいいかな。



キスはしたし、部屋に行く事だし念のためにね。




そんな事を考えていると、再び携帯が鳴った。



「もしもし?」

「メイサ〜…車で来たんだけど迷子になっちゃった。カーナビ壊れてたの忘れてて変な所来ちゃったよ。マジここ何処〜…」

「知るか!」



住所も教えたのに何で迷うかな。



…仕方ない。


迎えに来させた私も悪いし、分かりやすい場所まで行ってあげるか。
< 111 / 150 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop