もう誰かを愛せはしない
「美佳から聞いたの。ライハがお線香と仏花を買ってたって」



そう言いただすと礼羽はハァ…と溜め息をついた。




「今日はユウキの命日だったんだよ。だから近くの川に花を供えてきただけだ」



だったらそう言えばいいじゃない。

何で隠そうとするの?




私に隠さなきゃいけない程、ユウキさんが好きなワケ!?




「何でそんなにユウキさんを大切にするの?私に隠すくらい…大切にするのよ!?」

「隠してるワケじゃない。ただ、ユウキの話をするとメイサ怒るだろ」

「隠された方が怒るよ!」




私が息を荒らしてそう言うと、礼羽は落ちた煙草を拾って灰皿に入れた。




「じゃあどうしろって言うんだよ。…話したら話したで怒るし、隠したら隠したで怒る。俺はどうしたらいいんだよ!!」



ユウキさんの話をしないで。
ユウキさんを想わないで。


それだけだよ。




でも、それだけの事だけど


言っても何も変わらないと諦めて言うのをやめた。
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