もう誰かを愛せはしない

2・誰かの代わり

「浮かない顔してんなぁ」

「うるさい、亮太」



珍しく美佳が大学を休んだ為、亮太と2人でキャンパスを歩いていた。



さっきから溜め息をつく度にツッコんでくる亮太。


本当、男って無神経。




「まーだ彼氏との事で悩んでんのか?」

「そうだけど…」

「男の話は男にするもんだ。だからお兄さんに話してみ?」



お兄さんって言われても亮太じゃねぇ…。


まぁ話してみるだけ話してみるか。




「…男ってさ、初恋の人とか元カノって忘れられないもの?」


「そりゃあ一度は好きになった人だから忘れたりしねぇだろ。それは男に限らずともメイサだっておんなじだろ?」




そっか。
一度は愛した人だもんね。

忘れたり出来ないよね。




でも礼羽のユウキさんへの気持ちは、そんなに軽いものじゃない気がするんだよ。




「そう辛気くせぇ顔すんなって」



亮太のゴツゴツした指にギュッと頬をつねられた。


手加減って言葉を知らないのか、痛い。




「痛いっ…!強くつねり過ぎだ、バカ!!」

「あはは、ブサイク」



亮太にブニブニと頬をつねられていると、誰かの視線を感じた。
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