もう誰かを愛せはしない
「メイサ、帰って来いよ。俺と一緒に暮らそう?」



暮らそうって…。

私の話聞いてた?




「…俺、メイサと離れてるの嫌だ」



礼羽は泣きそうな声でそう言うとギュッと私の体を抱きしめた。




「出て行けみたいな事言ったのはライハでしょ?…なのに…」

「メイサがユウキ、ユウキいうからだろ」



そうだけど、今このまま礼羽といたって私はユウキさんの話をしてしまう。



今一緒にいたってきっと同じ事の繰り返しだ。




「…今は無理」



そう呟いて礼羽から体を離すと、礼羽は力無く腕を下に下ろした。




「じゃあ、いつならいいんだよ」

「…ライハ次第だよ。ライハの気持ち次第」



ごめんね。

私はそんなに強くない。




1番愛されたい。

礼羽の中を私だけで埋め尽くしたい。




でもそれが叶わないなら、私は礼羽といるのが辛いんだよ。



私に言ってくれる事が
私にしてくれる事が


本当に私宛てにされているのかと疑ってしまうから。





恋愛ってこんなに難しかったっけ?

もっと幸せで、楽しいものじゃなかった?



礼羽と同棲し始めた頃のように…。




あの気持ちは、いつ

私の中から消えてしまったの?





「メイサ、俺はユウキを忘れたりはしない。でもそれは今も好きだからじゃない。…ずっと一緒にいたからだよ」



でも
それでも

礼羽がユウキさんを想っている事には変わりない。



私は嫌なんだよ。


恋愛感情じゃなくても、礼羽が他の女の人を想っている事が。





わかって…
わかってよ、礼羽。
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