砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「アムジャド?」

アムジャドは、私の肩を掴んだ。

「僕達は大丈夫だ。日本とモルテザー王国で離れていても、心はいつも側にいる。」

「うん。」

「僕はチナを裏切ったりしない。だから、チナも僕を裏切らないで。」

「分かった。」

見つめ合う瞳に、私が映る。

私の瞳にも、アムジャドは映っているのだろうか。


そして私は、もう一つアムジャドのお父さんに、許しを乞う必要がある。

「国王。」

敢えてそう呼んだ。

「まだ何か言いたい事があるのか?」

「はい。」

私は国王の前に立った。

「国王に許して頂きたい事があるのです。」

「何だね。」

「私はまだ、学生の身です。一人で医療を提供できない。でも医者になって、またこの地へ戻って来ます。その時は……」

「その時は?」
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