砂漠での甘い恋~女医は王子様に溺愛される~
「他に方法はないんですか?」

「ない。その子は抗生物質も投与した。それでも治らないと言う事は、千奈の言う通り他の病気があるかもしれない。だがここにはレントゲンがない。直ぐに病状を特定する事はできない。」

「待つしかないんですか?」

「ああ、そうだ。」

私が茫然と男の子を見ていると、土井先生が体に当たって来た。

「なんだ、邪魔だ。」

「すみません。」

「一人の患者に構っている暇はないぞ。患者は次から次へと来るのだからな。」

私はゴクンと息を飲んだ。

「次の患者さん。どうぞ。」

見た目何でもないおばあさんだった。

「どうされました?」

通訳のアリさんが聞くと、頭が痛いと言っていた。

「最初に血圧測りますね。」

最初に来た時は、血圧を測ってばかりだった。
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