次の演奏は花山南高校吹奏楽部ですっ!〜部活大好き彼氏が甘すぎる〜

第三楽章

|《最後にさせません》


「おはようございます、先輩」
「あ、おはよう渚ちゃん、柊くん」

東関東大会当日。

私たちの演奏は3番。
朝早いので、私たち3人は現地集合、琴乃ちゃんは学校で積み込みという形をとっていた。

「大丈夫?緊張する?」
「だ、大丈夫ですよ先輩、俺絶好調です」

柊は固くなりながら言った。

…緊張してるじゃん。

トラックが搬入口に着くと、柊はますます喋るようになった。

「渚、今日楽しみだな!今日超えれば東日本も夢じゃないんだろ?やばい楽しみすぎる、てか、忘れ物ないよな?」
「柊静かに、ほかの学校もいるんだよ?」

ガッチガチに緊張する柊をなだめながら楽器を組み立てる。
…大丈夫、忘れ物はなさそう。

「先輩、こっち忘れ物大丈夫です」
「OK!こっちも大丈夫!」
「渚ちゃん、こっちにウッドブロックのネジ無い?」
「あ、あるある」

私たちが準備する中、柊はずっとお腹を抱えていた。

「柊?大丈夫?」
「ごめん、大丈夫」

大丈夫そうじゃないけど…
あ、そうだ。

今言うべきじゃないのかもしれないけど、先生からの伝言を伝えておく。

「そういえばね、先生が、初めては柊に譲るって言ってたよ」
「は?!」

柊は目を見開いて私を見た。

「…よっしゃ、やる気出た、ティンパニチューニングしてくるわ」
「あ、うん、行ってらっしゃい」

なんでそんな元気になったんだろう。
不思議に思いながら、組み立てを続けた。
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