あやかしの集う夢の中で
「フフフッ……。

フフフッ……。

フフフッ……」



吹雪が舞う極限の状態の中で、雪菜の不気味な笑い声だけが辺りに響いた。



愛理は手にサンダーアローを構え、雪菜に電撃の矢をくらわせようとしていたが、五体もいる雪菜の前に的を絞ることができなかった。



そんな状況の中で、五体の雪菜がゆっくりと愛理に近づき攻撃を仕掛けようとしていた。



愛理はいつ来るかわからない敵の攻撃にドキドキながら、近くに迫った五体の雪菜を見ていた。



そして愛理が小さく息をした一瞬の隙をついて、分裂している五体の雪菜は一斉に愛理に襲いかかった。



(本物はどれ?

一体に絞らなきゃ……)



愛理の心の中に大きな迷いが渦巻いていた。



でも、迫りくる敵を目の前にして時間に追われている愛理は、運を天に任せて、真っ正面から襲いかかってくる雪菜に狙いを定めた。



そしてその一体の雪菜に全集中すると、雪菜の額めがけて電撃の矢を解き放った。
< 106 / 171 >

この作品をシェア

pagetop