あやかしの集う夢の中で
「遠くに見える光が薄くなっている。

急ごう。

如月舞の大切な夢があるところへ」



今まで会話に参加せずに後ろにいた時宗がみんなの先頭に立ち、そう言った。



背が高くて、イケメンで、中学生のくせに髪が長い時宗は、ザ平凡と揶揄される桜介とは真逆の存在だ。



そこにいるだけで絵になって、カッコいい。



いつの間にか女子に囲まれ、噂の的になっている。



そんな時宗が桜介はうらやましくて、嫉妬していた。



でも、そんな遠い存在に思える時宗に自分はどうしても負けたくない。



時宗に負けを認めたら、自分はいつまでも平凡なままで少しも変われないような気がするから。



桜介は愛理と繋いでいた手を振り払い、時宗の方に歩いていくと、時宗に宣言していた。
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