あやかしの集う夢の中で
「見たか、愛理。

オレの炎の技はすげぇだろ」



そう言った桜介の様子は中学三年生には見えなくて、まるで小学校低学年だ。



桜介は昔から変わらないなと、心の中で愛理はつぶやき、戦いを楽しんでいる桜介を見つめていた。



でもそのとき、夢妖怪を包み込んでいる巨大な炎の中から、一体の夢妖怪が現れた。



その夢妖怪は炎に焼かれ、大ダメージを受けていたが、最後の力を振り絞って、桜介に攻撃をしかけようとしていた。



「桜介、逃げて!」



愛理のその叫び声を聞いた桜介は慌てて後ろを振り返り、自分に危険が迫っていることを知って後ずさった。



そしてピンチの桜介を救うべく、愛理は急いで雷の技を繰り出していた。



「いけ、サンダーアロー!」



愛理はすかさず、電撃の弓を作り、その弓から電撃の矢を解き放った。



そしてその電撃の矢はまっすぐに夢妖怪へと飛んでいき、夢妖怪の額に突き刺さった。



「ぐわぁぁぁ!」



炎に焼かれていた夢妖怪が叫び声を上げて、桜介の目の前の倒れ込んだ。



桜介はそれを見ながら、夢妖怪の執念を思い知り、だんだんと敵が強くなっていくのを肌で感じていた。



「油断しすぎだよ、桜介。

ちゃんと最後まで敵を見なくちゃ」



「そうだな。

この辺りの夢妖怪はマジで強いぜ」



「時宗君がいないんだから、桜介を頼りにするしかないんだからね」



「任せておけって。

夢の世界ではこのオレが最強だからさ」



桜介はそう言ってにっこりと笑った。



愛理は無邪気な桜介の笑顔につられて、桜介と一緒に笑っていた。
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