青は奇跡
午後になると、天気は良くなるどころか悪くなる一方だった。
朝は白かった雲があっという間に灰色になり、工場から排出されるどす黒い煤煙のような不穏な色に変化した。
紙パックのジュースを飲みながら動画を見せてくるミホちゃんと感想を話す。
アヤちゃんは前の英語の授業で使われた黒板の文字を消している。
わたしたちを担当する英語の先生は筆圧が濃いことで有名なので、なかなか消えない。
男子が力を込めてやっと消えるほどなのだが、肝心の男子は窓際で友達とふざけ合っている。
すると、アヤちゃんはその輪の中に躊躇することなく入っていき、「野本!」と声をかけた。
野本くんは「なんだよ」とか文句を言いつつも仕事をしている。
それに、ほんの少し頬が赤い気がするのは気のせいだろうか。
「お似合いだよね、あの2人」
「野本くんとアヤちゃん?」
「うん。付き合っちゃえばいいのに」
「美男美女だよね」
さらりとした黒髪に長い脚という芸能人顔負けのスタイルに加えて性格も良いのだから、男子はほっとかないのではないか。
わたしがそんなことを言うと、ミホちゃんは大笑いした。
相変わらず、空は暗い。