不細工芸人と言われても
まあ、今や売れっ子
お笑い芸人の中では、大きく四つのカテゴリーに分類されると俺は思う。

①そこそこスッキリした顔立ちでべしゃりもまあまあおもろいからすごいモテる奴

②ボケ担当でたいして面白くもないが着こなしがオシャレとかちょっとはやしたヒゲがシブいとか雰囲気勝ちで何気にモテる奴

③チビ、デブ、ハゲなど徹底的にコンプレックスのかたまりで笑いも卑屈なモテない奴

④ただただキモい気持ち悪がられて笑いをとるモテるわけがない奴。

だいたいこんな風に分けられると思う。

そして俺の立ち位置は、③。
徹底的にコンプレックスのかたまりで卑屈な男でブレイク中。
しかし、なんとか歳を重ねて、経験を積み、なんとか②の渋さと雰囲気を身につけてのし上がりつつあるんじゃないかとあざとく思っている節がある。
キャラ作りとしてもネタ作りとしても目立つためにも、俺はデビュー当時からボサボサ頭のロン毛に上だけ黒ぶちのメガネが俺のトレードマークだ。
身長は、170センチあるかないか、だいたい顔がデカいし、全体的にバランスが悪くずんぐりムックリした体型で、昔からモテたことはない。
でも、芸能人になれば女の子からチヤホヤされるに違いないという不純な動機で若い時からお笑いを目指してきた。
相方は、①タイプの芸人で、並ぶと俺が見上げる身長183センチのスマート系。二人並ぶともうそれはデコボココンビである。
で、女の子のファンは全てそっちに持っていかれている。
でも、コンビ仲は悪くない。
ピンでそれぞれ仕事もこなしているが、相方がゴールデン専門でかわいいモデルさんやアイドルと一緒にひな壇に並んで座って気の利いた事をコメントしていたとしたら、俺は深夜枠で下ネタ全開で笑いを取り野郎どもの心をわしづかみにするとか、過酷な海外ロケでそれでもめちゃくちゃ楽しんで小学生の悪ガキだけには尊敬されていたりとか。
そんな感じで役割があって、その対照的な二人が並んで他愛のない話をしていると意外と相乗効果が生まれてお茶の間を楽しく沸かせてしまうらしい。
下積み時代は長かったが、今は俺たちも安定の人気を獲得したと言っていい。
< 1 / 108 >

この作品をシェア

pagetop