君の好きな人が私だったらいいのにな。
そりゃあそうだよね、と深いため息をついたあと

東雲はおもむろに俺にきいた。


「………氷室は?」

『俺?』

「氷室は、大丈夫?」


私はあいつほど鈍くないよ、と笑う東雲に

そのことなんだけどさ、と俺は話を切り出した。


『俺も、悪い男だったみたい。』

「えっ…?」

『杉野に告白した。』


まあ5秒後には振られたけど、と苦笑すると

すこし間が空いてから

そっか、と東雲は言った。

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