二度目の初恋
予定より15分早く待ち合わせ場所に到着したが、伽耶はもう来ていた。


「ごめん。待った?」

「ううん、まだ3分も経ってないよ」

「なら、良かった...」


ふーっと一息ついたところで目に入ったのは伽耶の浴衣だった。

黒地に紫色の牡丹がたくさん描かれていて大人っぽい雰囲気がとても良く似合っている。


「あのさ、伽耶」

「ん?何?」

「ゆ...浴衣、似合ってる。すごく...」

「ありがとう。悠永に誉められるとやっぱり嬉しい」


伽耶が微笑む。

歯をあまり見せずににっこり笑うのが伽耶だ。

3歳の頃からこの笑いかたは変わらない。

いつも冷静で落ち着いていて、たまに笑ってくれるとちょっとむずがゆくて、でも嬉しかったのを今でも覚えている。


「ちょっと早いけど行こうか」

「そうだね。行こう」


オレは伽耶の隣に並んで歩いた。

すれ違う人はまだそんなに多くない。

だけど、オレたちと同じように夏祭りに行くのか浴衣姿の子供たちが道の真ん中でわーきゃー騒いでいる。

ちらっと小学校の方を見ると伽耶もそちらを見ていた。

思い出はいつになっても色褪せない。

この小学校であった出来事を無かったことには出来ない。

良い思い出もそうでない思い出もここにある。

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