二度目の初恋
学校もバイトも慣れてきた頃。
ふとスケジュール帳を見ると、5月20日にケーキのシールが付いていた。
忙しさに託つけて忘れていたけれど、この日は怜奈ちゃんの誕生日だった。
翌月は泰翔くんの誕生日もある。
バイト代が支給されるのは怜奈ちゃんの誕生日の翌日だから、今回はお年玉から払うしかない。
わたしは両親からもらった5000円札を引き出しから出し、財布に入れた。
そしてもう1度引き出しを開けた。
猫型ロボットの世界とは違って引き出しを開けたからといって時空を越えられるなんてことはない。
7年前からほとんど開けられていない引き出しには気になるものが入っていた。
「なんだろ、これ?」
花をラミネートした手作りの栞のようだけれど、黄ばんでしまって何の花なのか分からない。
なんとなく形状から桜の花びらのような気がする。
今度怜奈ちゃんに会った時に聞いてみよう。
わたしは財布を再び開いて樋口一葉さんと栞がきちんと入っているのを確認してから閉じた。
あの栞も思い出の一部のはず。
話を聞いて記憶復元の一助になればいい。
そう心から願った。
ふとスケジュール帳を見ると、5月20日にケーキのシールが付いていた。
忙しさに託つけて忘れていたけれど、この日は怜奈ちゃんの誕生日だった。
翌月は泰翔くんの誕生日もある。
バイト代が支給されるのは怜奈ちゃんの誕生日の翌日だから、今回はお年玉から払うしかない。
わたしは両親からもらった5000円札を引き出しから出し、財布に入れた。
そしてもう1度引き出しを開けた。
猫型ロボットの世界とは違って引き出しを開けたからといって時空を越えられるなんてことはない。
7年前からほとんど開けられていない引き出しには気になるものが入っていた。
「なんだろ、これ?」
花をラミネートした手作りの栞のようだけれど、黄ばんでしまって何の花なのか分からない。
なんとなく形状から桜の花びらのような気がする。
今度怜奈ちゃんに会った時に聞いてみよう。
わたしは財布を再び開いて樋口一葉さんと栞がきちんと入っているのを確認してから閉じた。
あの栞も思い出の一部のはず。
話を聞いて記憶復元の一助になればいい。
そう心から願った。