二度目の初恋
学校からの帰り道。

駅前の桜並木をわたしと悠永は並んで歩いていた。

今日は久しぶりに皆で遊ぼうということで、カラオケボックスに18時に集まる。

その前に時間があるからと来てみたものの、互いに距離の取り方に妙に敏感になっていてつかず離れずの状態で桜をぼーっと眺めながら、足をゆっくり動かしていた。

わたしは立ち止まって、悠永の制服の袖を掴んでみた。


「あっ...」


察してほしい。


「ごめん」


悠永が手を大きく広げ、わたしはその手に自分の手のひらを預けた。


「あってる?」

「うん。大変よくできました」


わたしがそう呟くと、悠永はくすっと笑った。


「何笑ってるの?」

「いや、由依はもっと自分からくると思ってたからびっくりっていうか」

「今わたしから仕掛けたよ」

「なんていうか、その...もっと分かりやすくぐいぐいくると予想してたんだけど...」

「わたしのこと野獣みたいに言わないで」

「別に野獣なんてそんなこと言ってない」

「言ってなくても感じさせたんだから、それはわたしをいじめたってことになる」

「いやいや、被害妄想が過ぎる」

「妄想じゃない。れっきとした被害です!」

「だからオレは......」


とプチ喧嘩が始まりかけたその時。


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