二度目の初恋
なくしたままは嫌だ
アタシには忘れられない日がある。

小学3年生になったある日のことだった。

アタシは昔から茶髪のくせ毛でよく同級生からいじられていた。


「怜奈ちゃんの髪型気持ち悪~」

「なんか海草が頭に乗ってるみたぁい」

「あれでお嬢様とか有り得ないよね~」


そう言ってくる女子たちには「そんなこと言わないで!」と言い返していたのだけれど、それがエスカレートして徐々に避けられ始めた。

皆アタシを見るや否や走って逃げていき、一緒に遊ぼうと近寄っていけば「キモい」「くるくるパーマがうつるから来ないで」と言われた。

休み時間アタシは誰もいない教室の隅で1人泣いていた。

大声をあげて泣きたい気もしたけれど、こんなのでわんわん泣いてたまるかと思い、膝を抱え、声を圧し殺して泣いていた。

しばらくしてわたしの隣に誰かが腰を下ろし、わたしに話しかけてきた。


「どうしたの?」

「ぐすっ...ぐすっ...」

「泣いてちゃ分からないよ」


その子はアタシとは違ってさらさらの黒髪ロング。

たまに可愛らしいカチューシャをしてくる。

そしてその子はピンク色が好き。

アタシに差し出したハンカチもピンク色だった。

アタシは受け取ったハンカチで必死に涙を拭った。

その子がアタシの頭を撫でる。

その子の優しさや温もりが、小さくて白い手のひらから伝わってきてアタシは徐々に落ち着きを取り戻した。

アタシが泣き止んだのを見計らってその子は春の日だまりのように穏やかな声で言った。

「この髪の毛ふわふわで気持ちいいね」

「えっ?」

「近所にトイプードルいるじゃん。あれより気持ちいいよ」

「そ、そう?」

「こういうのって個性って言うんだって。個性は自分が嫌だなって思っちゃうと嫌に感じちゃうし、自分だけの特別だって思えると良く感じるんだよ。だから個性を大事にして自分らしく生きようよ。ねっ?」


アタシは大きく頷き、涙を浮かべながその子に抱きついた。


「わたしはたかれなの髪も個性も性格もみーんな大好きだよ」


そんなこと言われたらもう嬉しくてたまらない。

嬉しすぎて泣いて笑っていた。

アタシの側にいつもいてくれて

アタシの心に寄り添ってくれて

アタシに笑顔を見せてくれるのは...

あの子だけ。

ゆいぼん......。

アタシの幼なじみで大親友でとっても大事な人......

佐倉由依。

< 41 / 365 >

この作品をシェア

pagetop