二度目の初恋
時の流れは早い。

遂に今日は8月10日だ。

アタシは母方の祖母を呼び出し、着付けをしてもらい、母に髪をセットしてもらった。

ゆいぼんに言われてからアタシはくせ毛を気にすることなく常にポニーテールかツインテールにして過ごしてきたけれど、今日は一味違う。

きちんとアイロンで伸ばしてから編み込みをしたり、三つ編みをしてもらったりして最後はかんざしでとめた。

鏡に映る自分はまるで別人だ。

なんとなく今日は化粧のノリも良いし、髪型もバッチリ決まってるし、浴衣もなんだかんだ言って似合ってると思うから、良い日になると思う。

何か起こるよ、今日。

アタシははやる気持ちを抑えきれず、下駄をカタカタ鳴らしながら小走りでゆいぼんの家まで走って行った。

夏の青空には雲ひとつ見えなかった。



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