君との想い出が風に乗って消えても(長編・旧)
いつもの笑顔の加恋ちゃん。
そして今日も加恋ちゃんはかわいい。
「優くん」
「うん?」
「秘密の場所に行くのは昼の3時過ぎくらいでもいい?」
「うん、いいよ」
「ありがとう、優くん」
いつも時間指定をしてこない加恋ちゃんが今日初めて時間指定をした。
時間を指定するなんて珍しいな……。
3時過ぎになにかあるのかな……?
それともたまたまかな……。
僕は、そう思いながらも特に気にしてはいなかった。
「加恋ちゃん、3時までどこに行く? 加恋ちゃんの行きたいところに行こ」
「いいの? 優くん」
「もちろんだよ」
「ありがとう、優くん」
「わざわざお礼なんていいよ」
「ううん、言わせて。本当にありがとう、優くん」
加恋ちゃん……。
「じゃあ、行こう、加恋ちゃん。……って、まだ行くところ決めてなかったね」
「優くん」
加恋ちゃんはやさしく笑っていた。
加恋ちゃんはやさしく笑った後……。
「遊園地」
「遊園地……」
「うん、遊園地に行ってみたい」