君との想い出が風に乗って消えても(長編・旧)
僕は照れて花咲さんの方を見ることができなくなり、また下を向いてしまった。
そして僕は照れながら……。
「……うん……じゃあ……加恋……ちゃん……」
『加恋ちゃん』……。
そう呼ぶだけで僕の胸の鼓動が高鳴り始めた。
「ありがとう、優くん」
加恋ちゃんの笑顔。
僕には、まぶし過ぎるくらいの加恋ちゃんの笑顔。
でも、そのまぶし過ぎるくらいの加恋ちゃんの笑顔は僕を元気にしてくれる。
『来年の今頃は、ここにはいない』
やっぱりその言葉はずっと引っかかっているけれど、今は加恋ちゃんと一緒に一つでもたくさんの思い出をつくろうと思った。
もうこれ以上、入りきらないと思えるくらいのたくさんの思い出を加恋ちゃんと一緒につくる、僕は強く決意した。