呑みますか、呑みませんか。

 服装?

 新入社員ぽくフレッシュにしているつもりだけどそんな風に見えていたの!?


 距離感保たないと逆におかしくない!?


 あと、始発あるのに、いつまでも帰らない意味もわからないし。


「あんま、期待しちゃ。ダメってことかな」


 それって。

 なんの、期待、ですか。


「かんたんに。できそう……とか。思ってた?」

「やな言い方するね」

「っ、ごめん!」

「まあ。そういう期待もしてないわけじゃないけど。……って言ったら。もう二度と来ない?」


 チヒロくんの問いかけに、頭を横に振る。


「それじゃ。今夜は。朝、目が覚めたあとも。うちにいてよ」

「……いる」

「よかった」


 なんだろう、この、空気感。


 ちょっぴり気まずいのにそれが心地いい。


「チヒロくん」
「オギノ」


 ほぼ同時、だった。


「先にどうぞ」
「そっちからでいいよ」


 あれ、わたし、なに言おうとしたんだっけ。

 珍しくお酒がまわってきたかもしれないぞ。


 こんなときに。


「俺さ。しばらく恋愛から遠のいてて」

「うん」

「仕事も、まだまだこれからって時だから。当分は。いいかなって思ってたんだけど」


 …………けど?


「君といると。……止まらなくなりそう」


 止まらなくていいよ。


「もちろん、これは。誰でもいいわけじゃなくて。オギノだから言ってる」
< 15 / 28 >

この作品をシェア

pagetop