呑みますか、呑みませんか。

 まっすぐ見つめられ、思わず照れくさくなって目をそらしてしまう。


 すると、視界に飛び込んできたのは――


「"梅酒飲み比べセット"」

「それいっちゃう?」

「なんだか綺麗だな、と」


 わたしが見つめているボトルのラベルには、"柚子梅酒"と書いてある。

 柚子なのか梅なのかどっちなの。

 あとは、苺梅酒や緑茶梅酒なんてものもある。


 それぞれに黄、赤、緑と色がついている。


「この梅酒を注いだグラスを並べると。信号みたいに、なるね」


 言い終えたあとで発想が子供っぽかったかな、とハッとする。


「やってみる?」


 バカにされなかった。


「ううん、これをあけるのは、次回以降……で」

「遠慮しなくていいよ。俺は酔っぱらいのたまちゃん見て、ほっこりしてるから」


 ほっこり……?


「今夜は日本酒にしておいて。次またチヒロくんが完全回復したときに梅酒攻める」

「なら。それで」

「梅酒は、ソーダで割るのもサッパリしてこれからの時期によさそう」

「それなら用意してある」
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