忘れるための時間     始めるための時間     ~すれ違う想い~
そんなことがあっても私は唯とずっと仲良くやって来た。
劣等感が無かったかと言えば嘘になるかも知れないが、唯や亜紀がいつも「みぃは可愛い!みぃ!大好き!」そんな風に言ってくれたし、それはきっと二人の本心だと思っていたから自分をそこまで嫌いになることは無かった。
明るくて元気な二人に助けてもらいながら中学校生活を無事過ごした。


ほとんど見ることが無くなっていたこの夢を見てしまったのは、永井君に抱き抱えられ、保健室に運ばれたことでまた噂の的にされてしまうかもという恐怖心からなのかも知れない。
永井君や東山君が優しくしてくれるのや、親しくしてくれるのはあの時と同じでただ唯に近づくための手段なのかも…という不安からなのかも知れない。

「自意識過剰はダメダメ!勘違いしたらいけん!」頬を両手で軽く叩きながら自分に言い聞かせ、3日ぶりの登校準備をしに1階に降りた。




足取りは重い。
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