住みますか、住みませんか。


.

*

「おはよ」


 寝坊、してしまった……?

 起きるとチヒロくんがスーツを着ていて既に出勤モードになっている。


「ゆっくりでいいよ。俺、ちょっと先に出るけど」


 いや、この時間なら、わたしはいつも通り。


「戸締まりよろしくね」


 握らされたのは、鍵。


「……ええっと。いつ返せば」


 会社で話すことないよなあ。

 さりげなく渡さなきゃ。


「持っていていい」

「え?」

「それは。たまちゃんに作ったやつ」


 手のひらの上に乗っけられた、キーホルダーつきの、これは……。


「もらって」


 合鍵!?


「……いいの?」

「二人で住むまでの間も。もっと気軽に会えたらなって」

「チヒロくんより先に、わたしが帰ってきて。ご飯作って待ってたり?」

「おおっと。そんなつもりで渡したんじゃないけど。してくれたら涙ちょちょ切れるな」

「なに、食べたい?」

「ハンバーグ」

「それが一番に出てくるところ。かわいいね」

「いや。ほんとは」

「え?」

「最初にたまちゃん、って言おうとした」

「…………食べる?」

「えー……。今、そういうこと言っちゃダメ」

「あれやってみたい」

「なに」

「行ってらっしゃいの。……チュウ」
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