住みますか、住みませんか。
「それだけで終われるかな」
口角を上げ、イジワルに笑う。
「終わらなきゃ仕事いけないよ」
「昨日の夜の、たまちゃんが。思いのほか積極的で。よかった」
「そう、かな?」
「俺。たまちゃんのこと欲しがりすぎだと、自分でも思うんだけど。やめられないんだ」
そっと唇を重ねてきたあと、離されるかと思いきや、今度は優しく甘噛みされる。
「チヒロくんのキス。すき」
「はあ。出勤したくねえな」
「こら」
「帰ってきたら。もっといっぱいしよ」
会社で会えるのに、なんだろうかこの名残惜しさは。
「またあとね。オギノさん」
「そうですね。営業部のタマキさん」
見つめあって一秒ももたずに、どちらからともなくクスッと笑みがこぼれる。
「俺と一緒に住みますか。住みませんか」
「タクシーのおじいちゃんが脳裏をよぎるよ。降りますか、降りませんかって困らせちゃったことあったでしょ」
「それ狙って言った」
「もう」
「返事は?」
「住みます」
「よっしゃ」
ねえ、わたし
……タマキタマキになれるのかな?
「行ってらっしゃい。気をつけてね」
「行ってきます」
【Fin.】

