お人好し
何がいけなかったのだろう。僕は何もしていないのに、悲しみの涙さえも流れてこない。冷たい雨にあたって体の感覚はもうない。
意識を手放しかけた瞬間……

「白川!」「白川君!」
そんな声が聞こえた気がした。

気がつくと見慣れた部屋の布団で眠っていた。
体を起こそうとすると激痛が走る。

「起きたか。」
「白川………」
僕の目から涙が出てきた。
「信じてくれてたんですかっ?」

「当たり前だ。馬鹿野郎」

「ごめんなさい。ありがとう」

「お前が謝る意味がわからない。制裁すべきはあの野郎だよ」
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