冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい

仕事からプライベートまで様々な会話が飛び交う。皆、レウル様と話せるのが嬉しいらしい。どの話題にも真摯に答える姿は理想の王だ。

冷酷非情だと噂されて外交面では隙がない王だが、国民に対しては高圧的な態度を一切見せない。彼は、これ以上なく一国の主にふさわしい人。ついていきたくなるのがわかる。

陛下に挨拶を終えたゲスト達は私にも友好的に声をかけてくれた。もちろん話題はふたりの関係についてなのだが、詳しく話すとボロが出る気がしてうまく喋れない。

二時間ほど経った頃、小さく耳打ちされる。


「ランシュア大丈夫か?休憩してもいいぞ」

「いえ、平気です。レウル様こそお疲れですよね?」

「いや、俺は気にしないでいい。夜会は疲れないんだ。他国の要人の相手をするよりよっぽど有意義だから」


そう言い切った彼は王の鑑だ。

疲労を顔に出さないのは、王としての責任を持って夜会を大切にしているからだろう。革命が起き平和な社会になった今、二度と過去のあやまちを繰り返さないように努力をし続けている。

青い薔薇という噂しか知らなかったけれど、誠実さや優しさに気づく度に噂だけが真実ではないと実感した。

他人を拒絶し刺のように辛辣な言葉で突き刺すのも、柔和な物腰で国民と触れ合うのも、同じレウル様なのだ。

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