冷酷陛下は十三番目の妃候補に愛されたい


「レウル陛下。相変わらずお元気そうで何よりです」


ひとりの男性が歩み寄ってきた。黒いヒゲをたくわえており、歳は四十代くらいだろうか?身につけている装飾品から高貴な身分であるとうかがえる。

国民とは違う雰囲気の男性を見つめていると、レウル陛下は真剣な顔つきで口を開く。


「アルソートに帰ってきていたんですね。ダルトンさん」


その名を聞いて、はっ!とした。

ダルトン=クロウィド。先代の王の弟であり、レウル陛下からみた叔父(おじ)だ。

王位継承権があったにも関わらず、先代の遺言により息子のレウル様が王となった現在は、城の外交官として世界各地を回っていると聞いていた。

一部では裏社会と通じているという黒い噂もあり、正直関わりを持つのが恐ろしい。

目があっただけで震え上がるほどの威圧感を放ちながら男性は答える。


「いいや?帰ってきたというより隣国へ向かう前に一晩泊まりにきただけですよ。ここは俺の実家でもあるのでね。急に来られては迷惑でしたか?」

「いえ、とんでもない。おっしゃる通り、この城はダルトンさんのものでもありますから。しかし、なぜ隣国へ?次の会談相手は南のサメノア国ではありませんでしたか?」

「あぁ、仕事ではありません。そんな怖い顔をしないでください陛下。プライベートな用事です。隣国には知り合いが多いのでね」

「はは。詮索するつもりはありませんよ」

< 50 / 196 >

この作品をシェア

pagetop