その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党
君の未来に僕は居るの?


それから三日が過ぎた。
ロビンのEOCで働く日々が刻々と少なくなっていく。

ロビンは色々な事を考える事をやめた。
考えれば考えるだけ、前へ進めなくなるのが分かる。
特に考えるのは健太郎の事。
愛するがゆえに、将来有望で有能な明智健太郎という人間を巻き込みたくない。

ベトナムに帰るという事は、日本へはしばらくは来れないという事。
日本とベトナムの往復のエア代も、今のロビンには高過ぎた。
以前のロビンは、お金はたくさんあったけれど自由がなかった。
今のロビンは、自由は手に入れたけれどお金がない。
でも、お金がなくても自由に動ける時間があればそれでいい。
たくさん望む事はしない。
自由もお金もましてやケンもなんて、そんな事考えちゃいけない。

ベトナムへは一人で帰る。
日本で暮らすためのビザを取得できるように、ベトナム人としてちゃんと働く。
とにかく真面目に、そして真っ当に生きていきたい。
志半ばで死んでしまったママに誇れるように、ママの眠るベトナムでしっかりと生きていく事を決めた。

そう決めたら、もう他の事は考えない。
健太郎の事も考えちゃダメ。
それは、ソフィアとも約束した事だから。

健太郎はロビンの住む自分のマンションに毎日帰ってくる。
僕が帰ってこなきゃロビンがいなくなりそうで怖いんだなんてそんな事を言う健太郎に、ロビンはまだはっきりとEOCを辞めた後の話をしていない。
でも、今夜話すつもりでいる。
EOCの契約が切れた三日後に、ベトナム行きの片道チケットをもう買った事も。



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