その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党


ロビンは小さくため息をつくと、スマホの自分の連絡先の画面を健太郎に差し出した。
健太郎はあっという間に自分のスマホに取り込んだ。


「ロビン、仕事はまだ決めないでいて。
明日中に僕がその件について連絡するから」


健太郎はカフェに飾られているアンティークな置時計をさりげなく見る。
もう、本当に時間がない。

ロビンは黙ったままだ。
ロビンの心の内は、恋愛初心者の健太郎には何も分からない。
だから、尚更、自分の思うようにできる。
いや、する。
誰が何と言おうと。

健太郎は立ち上がると、思い出したようにロビンの耳元で囁いた。


「僕を信じて…

絶対に幸せになれる。
子供の頃のロビンの笑顔を思い出すだけでいいんだ。
あの笑顔を取り戻すためなら、僕は何だってするよ」


健太郎はそんな甘い言葉を残して、風のように居なくなった。
ロビンの心をかき乱したまま…


店を出た健太郎は、急いで駅まで走った。
今の僕に自分の未来が想像できない。
今までの僕は、いつでも何にでも完璧だったはずなのに。

そんな僕が自分の明日さえ想像できないなんて…

きっと、僕の方が心をかき乱されている…


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