想い出

　彼女が大学に行っている間、僕は一人本を読む。

でも、その本は五分も経たずに飽きてしまう。

暇という文字そのままの生活をしていた僕の目に一冊のアルバムが目に入った。

赤くて、一つだけ何度も見たようなのか跡がついている。

そっと手を伸ばすと、そのアルバムを持つ手に力が入った。

一枚ページをめくると、そこには彼女ともう一人、同じくらいの年齢の男の子が写っている。

彼女も男の子もどちらもまだ幼いページをめくっていくと、少しずつ成長していく彼女とその男の子。

そして最後のページを開いたとき、僕の体は止まった。