想い出
~結月との最後の写真~

 彼女の文字が写真の隣に。

そして、その男の子はたくさんの管でつながれた少年になっていた。

「結月……」

 偶然なのか、必然なのか。

なぜ、彼女の隣にいる彼が僕と同じ名前なのか。その写真に触れると、涙が一粒手に落ちた。

「え。どうして」

 僕が言葉を発した時、どこからかまた聞こえてきた。

「結月……また一緒に桜を見に行こう。海に行こう。紅葉を見て、雪合戦をしよう。ねえ……結月」

 揺らいだ景色は真っ白だった。そこに、温かい手の感触が加わった。

「結月。いかないで」

 僕の隣で、僕の手を握る。

幽かに見える世界の中に一人、どこかで見た少女が映っている。

僕の名前を何度も何度も呼びながら。

その少女は、彼女のアルバムに写っている少女だった……

「ただいま」

 遠くで彼女の声が聞こえる。けれど、体に力が入らない。

そのアルバムのページをただ眺めることしかできなかった。

「どうしたの」

 彼女が僕の隣に腰を下ろすまで時間があった。

きっと、彼女も気づいたはずだ。

だからこそ、何も言わずに横にいた。アルバムに添えてあった僕の手を優しく握りながら。
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