【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
「……ねえ。白坂くんは、いつから私のこと知っていたの?」
「言ったでしょ? 子供の頃からずっとって」
やっぱり、涼太と同じことを言う。
知らないのは私だけなんだと思い知る。
「だって、俺と水瀬は本当は出逢えてたはずだから」
どういう意味で言ったのかはわからない。
白坂くんの横顔が切なそうで、それ以上何も聞けなかった。
徐々に花火の打ち上げ時間が近づいてきているせいか、通り行く人の波が押し寄せてくる。
「花火、もうすぐだよ?」
「うん……」
白坂くんの手を離さないように後ろを歩く。
「あれ、俺言ったっけ?」
人混みの中、白坂くんが不意に顔だけをこっちに向けた。
「えと……なにを?」
まるで今までのように、お互いの視線と視線がぶつかって、数秒……
「浴衣すげぇ可愛いって」
「っ、」
いきなりそんなことを言われたから、全身が熱くなる。