【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ
【初恋】まだ出逢えぬキミに


「剣崎。お前の獲物は俺でしょう?」



月を背負った白坂くんが、口角を上げて断定的に囁いた。


私は声にならない声で、白坂くんの名前を呼ぶ。



「──凪、やっと会いに来てくれたか」



不気味な声を落とした剣崎の腕を、白坂くんが背中で拘束している。



「剣崎、今夜で鬼ごっこは終わりだ」


「ははは。そのつもりで来ているんだよ? でもね、鬼ごっこなら大勢の方が楽しいよ凪」



とびきり楽しい夜にしようね、と子供みたいにはしゃいだ剣崎が、白坂くんの腕を振り払った。


……大勢?


ここには暴走族の男達は不在で、なぜだか剣崎しかいないのだ。


けれど、剣崎は堂々と胸を張っている。

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