壊せない距離
最終出勤は、何事もなく終えられた。
経理部は特に外出は無いから、定時を迎える頃にはほとんどの同僚がデスクに座っている。
そこで部長から、私が本日をもって退職することを告げられた。
誰にも言っていなかったから周りは驚いていたし、理由も聞かれたけれど。
同僚たちも暇じゃない。早く仕事に戻れ、と部長から言われてそれぞれデスクに戻って行く。
経理部の人数はそう多くない。
最後、一人一人に、お礼のお菓子を渡して回り、謝罪とお礼を言った。
送別会しましょうよ、と言ってくれたけれど、急遽引っ越すことになったから、と断らせてもらった。
「飯田さん、お世話になりました。」
可愛らしい花が添えられたクッキーを手渡すと、飯田さんは小声で言った。
「辞めること、あいつは知らないんだろ。」
「…飯田さんって、鋭いのか鈍いのか、分からないですね。」
「良いのか、言わなくて。」
どこまで気づかれているのか分からなくて苦笑する。
「良いんですよ。たぶん、それほど気にしてないですから。」
「…無理するなよ。元気でな。」
「飯田さんも、お元気で。」
経理部は特に外出は無いから、定時を迎える頃にはほとんどの同僚がデスクに座っている。
そこで部長から、私が本日をもって退職することを告げられた。
誰にも言っていなかったから周りは驚いていたし、理由も聞かれたけれど。
同僚たちも暇じゃない。早く仕事に戻れ、と部長から言われてそれぞれデスクに戻って行く。
経理部の人数はそう多くない。
最後、一人一人に、お礼のお菓子を渡して回り、謝罪とお礼を言った。
送別会しましょうよ、と言ってくれたけれど、急遽引っ越すことになったから、と断らせてもらった。
「飯田さん、お世話になりました。」
可愛らしい花が添えられたクッキーを手渡すと、飯田さんは小声で言った。
「辞めること、あいつは知らないんだろ。」
「…飯田さんって、鋭いのか鈍いのか、分からないですね。」
「良いのか、言わなくて。」
どこまで気づかれているのか分からなくて苦笑する。
「良いんですよ。たぶん、それほど気にしてないですから。」
「…無理するなよ。元気でな。」
「飯田さんも、お元気で。」