ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語
「本日の予定は16時のアポが一件で、
おそらく話の内容的に30分くらいで終了かと。
…17時に出るのは、可能と言えば可能ですが…。
今日、月曜日ですよ?
週始めから呑みに行って大丈夫なんですか?
先生?もう若くないんですから、無理をされては……」

「い、いや!
呑みには行かないよっ?
ちょっと、加藤くんと『将吉』にね…?」

「…本当にそれだけですか?」

「うん。もちろんだよ。
呑みには行かない。ね、だから涼子には……」

「…わかりました。
門限は20時です。晩御飯が遅くなるのも
お身体のために、良くないんですからね?
奥様にはその予定で、LINEを送っておきます。
いいですか?必ず門限は守ってくださいね。
私が怒られちゃうんですからね!」

「はーい!」

フフフ…。子供みたいだなぁ。


……院長、早く帰るんなら、彬良にはここに来てもらおうか…。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「失礼します」

あ、来た。

「いらっしゃい。どうぞ、座って。
コーヒー入れましょうか?」

「ああ。父さんは?今日は直帰?」

「最近ね、内科の加藤先生と、商店街の将棋道場にハマってるのよ。5時まで待てずに、いそいそ出て行っちゃったわ。
あ、奥様には言わないでよ。
仕事って事になってるんだから。
まあ、8時の門限、ちゃんと守ってくれると思うんだけど…」

「門限…。」

「家で待ってるのも、心配なのよ?」

< 31 / 158 >

この作品をシェア

pagetop