ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語
「ただいま〜!
健心帰ってる?…あ、お客さんよ。
彬良、覚えてる?」

「お帰り。
……へぇ。久しぶりだな。
………やっと来たんだ。」

「ん?なんか言った?
あ、すぐに晩ご飯作るから、ちょっと彬良の相手してて。
彬良も食べてくよね?」

「……ああ。」

「生姜焼きだから、すぐ出来るよ。
待ってて!」

そう言ってにっこり笑って、灯里はキッチンへ行ってしまったけど…。

相変わらず、生意気そうな健心に、顔が引き吊りそうになる俺。

相手は10歳も年下なんだ。
怯むな俺!


「やっと来たんだ。
あぁ、研修終わって、実家に戻ったってとこかな?
それで?結婚の挨拶にでもきたの?」

「………。」  

矢継ぎ早に言われて、返せない俺。

「まあ、入って座ったら?」

どう考えても、友好的な感じじゃないよな?
まあいい。
とりあえず、こっちの本題に入らないとな。
灯里は手際がいいから、すぐメシの時間になってしまう。

「灯里に聞いた。
K大医学部目指してるって?
予備校の相談に乗ってやってほしいって言われたんだけど…お前、相談必要か?」

「……必要ないな。
悪いけど、落ちる気しないから。
この前のZ会の模試、上位1%に入ってたよ。
全国で。」

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