ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語
「俺が信じられないのは、彬良が手当たり次第に女と付き合ってた、ってとこだ。
アイツはそんなこと絶対しないぞ。
てか、できるやつじゃない。
昔からカタブツ過ぎるからな。」

「あなたと違ってね?」

あ、マズイ。
こっちに矛先を向けるな!

コホン、と咳払いをして

「今の俺は麗一筋だからな。
一生、麗だけがいいんだ。!」

「フフフ…。わかってるわよ。
私も。修司さんだけを愛してる。」

お!いい雰囲気になってきた⁉︎

「でもね。灯里ちゃんを悲しませる彬良くんは許せないの。あのヘタレぶり、なんとかしなくちゃ!」

……あぁ…また彬良の話か…。
くそー。
早く解決させないと、俺の夫婦生活が!

「ちょっと、考えがあるのよ…フフフ…。」

わ!麗から黒いオーラが出てるっ!
こ、これは…明後日なんか企んでるぞ…。

「それにね、同じニオイがしない?あの2人と。」

「なにが?」

「藤田夫妻よ。
幼馴染って程ではないけど、2人って高校から、実は唯一の存在なんでしょう?
なんか、似てない?
まあ、それにしちゃ、彬良くんがヘタレすぎる気はするけどね。」

鋭いなぁ〜俺の嫁は。
たしかに、俺も同じことを考えてた。
彬良と灯里ちゃんは、藤田夫妻と同じ系統だ。
お互いが唯一の存在で、おそらくそれは一生変わらないだろう。
あのカタブツの弟は、コレを逃したら一生1人かもしれない。
俺だって、灯里ちゃんみたいな義妹が出来たら嬉しい。
いや、義妹は灯里ちゃんしか考えられない。

彬良、ヘタレはもう卒業だ!




「フフフ、明後日、楽しみね。」




………彬良、ガ、ガンバレ…!






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