不倫の代償

「雪穂 こんな話し 嫌じゃない?」

「うん。博幸が 疲れてなければ。聞きたい。」

博幸は 私を 手招きして 膝に乗せた。

私は 博幸に抱かれて 向かい合う。


「あいつは お客さんの娘だったの。うちの会社で預かっている アパートのオーナーの。」

私は 驚いて 博幸を見る。

「時々 オーナーの所に 顔を出していたけど。あいつに会ったのは 随分経ってからだった。その頃 会社を辞めたとかで。たまたま 家にいたあいつが お茶を出して。俺より 2才年上だから。その時 30才近かったんだ、あいつは。」

私は 黙って 頷きながら 博幸の話しを聞いた。

博幸は 私の腰を抱いて。

時々 背中を撫でながら。

続きを 話し始めた。


「何となく そのオーナーに進められて。娘が 退屈しているから 食事でも 連れて行ってやってくれって。それから 時々 会うようになったの。」

「博幸 お義父さんに 気に入られたんだね。」

「俺なら 自由になると 思ったんじゃない?」

「でも 博幸も 奥さんのこと 気に入ったんでしょ?じゃなきゃ 結婚なんて できないもん。」

「どうなんだろう… 俺 条件に 惑わされたのかな。確かに あいつには 不満はなかったけど。でも すごく好きとか そういうんでもなかった。地味な奴で。暗いんだ。一緒に出掛けても 楽しいのか 反応が薄くて。でも 結婚するなら そういう方が いいのかって。」




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