不倫の代償

「なかなか 話しが進まなくて 雪穂 ごめんな。」

弁護士と会ってきた夜 博幸は言う。

「ううん。私のことは 気にしないで。博幸こそ 色々 大変でしょう。私の為に ごめんね。」

疲れた顔の 博幸が心配で。

私は 熱いお茶を そっと差し出す。

「雪穂は 優しいな。こんな時でも 俺を心配してくれるの?」

「当たり前でしょう?博幸が 元気じゃないと 私も 元気が出ないもん。」


「あいつに 少しでも 雪穂の優しさがあればなぁ。」

博幸が ポロっとこぼした言葉。

私は 我慢できずに 聞いてしまう。


「博幸と奥さんって どうして結婚したの?」


ずっと聞きたかったこと。

ずっと聞けずに 我慢していたこと。


弁護士との話しで 疲れていることは わかっていたけど。



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