チヤホヤされてますが童貞です
その時、トンッと指がとある物にぶつかった。

(え…?)

自分の手に伝わる感触は明らかハンカチのような布類とはかけ離れていて…。

「あっ…」

それが彼女の手だと認知するのに数秒かかった。

心臓がドキリと大きな音を立てたことを悟られないように『ごっごめんなさい!』と慌てた様子で謝り、反射的に手を引っ込めて熱くなる頬を手の甲で隠した。

「えっと…私こそ…余計なお世話を…」
「いえ…! これは佐嘉峰さんの親切心で…! おっ俺が…変に手を出したから…」
「……?」

うるさくなった鼓動を静めるために呼吸をゆっくりと繰り返していた。

「………」

(うわ…めちゃくちゃ顔見られてる…)

驚いた、と顔に書いてあるような表情で見つめられ、動揺しながらもとりあえずハンカチを手にとってポケットにしまう。


「……もしかして…女性が苦手ですか…?」
「っ……」

(うぅ……バレた………)

「………はい…」
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