レーセル帝国物語 皇帝陛下に見初められた侍女見習い
そのうえアリサが恋人になるなんて……。それはもう,わたしの想像の範疇(はんちゅう)()えていた。
「でもきっと,ポール様はイライザが気になっているのよね。放っておけないというか」
「…………」
わたしはどう返していいのか分からなかった。これまで男性とお付き合いしたことがないから,男性であるポール兄さんの考えていることなんて分かるはずがない。だから,アリサの言うこともあながち間違っていない……かもしれない。
「――イライザ,ちょっといいかしら?」
仕事が終わり,宿舎に戻ろうとお城の回廊(かいろう)を歩いていると,女官長のナタリア様に呼び止められた。
「はい。何かご用でしょうか,ナタリア様?」
「あなたに使いを頼みたいのです。これを,大臣に言づけてきてほしいの」
「はあ」
手渡されたのは,手紙のようなもの。一体何が書かれているのかしら?
< 23 / 59 >

この作品をシェア

pagetop