弟にしないで。

「桃奈、見えんの?」

洸が賑やかなこの場でも聞こえるように近づいて話してくれる。

「背伸びして頑張る!」

そう返して、

ふとれいちゃんの方を見ると目があった気がする。

「え、やば!成瀬くんと目があったんだけど!?」

「え!やっぱりこっちみてたよね!」

と前の女の子たち。

あ、なんだ、違ったのか。

綾はあんな無愛想のどこがいいんだか、顔だけだ顔だけ、遥くんのがモテる、とぶちぶち言いながら、

すらっとした身長を生かして、

はるちゃんの写真を撮ってくれる。

はるちゃんは気づいたのか、

ピースしてくれる。

あ、はるちゃん可愛い。

れいちゃんも気づかないかな〜と念を送ると、

こっちをみた気がしたから、

見えるように、

1番後ろだから他の人にも迷惑にならないよね?と、

思いっきりジャンプして

アピールする。

あ!気づいたかな!

バッチリ目があった気がして、

ジャンプして大きく手を振ると、

れいちゃんが少し笑って、

恥ずかしそうに小さく手を振り返してくれる。
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